新潟県の医療再編に関する議論を花角新潟県知事の間で行いました。上越地域の医療再編における県立病院ネットワークの重要性を強調し、急性期の集約や人材確保の実現可能性について問い合わせました。知事は、医療人材にとって魅力的な環境を構築し、県立病院の人事異動ネットワークの活用を含む様々な方法で人材確保を目指すことを述べました。また、過去の魚沼地域医療再編の例を挙げ、基幹病院の設立による人材確保の困難さを指摘し、上越地域再編時の対策について問い合わせました。知事は、魅力的な病院作りと県立病院ネットワークの重要性を再度強調しました。さらに、子ども条例の制定に伴う権利救済機関の設置について質問しました。知事は、法務局のワンストップ機能や教育委員会、児童相談所との連携を強調し、現状の体制の周知広報と普及啓発の重要性を述べました。最後に、柏崎刈羽原発の再稼働に関連する避難路整備の要望と、検証総括報告書の客観性についての質問が行われました。知事は、避難路整備は再稼働判断の一材料であること、総括報告書は適切に要約されていると答えました。私は、検証総括報告書の内容について懸念を示し、異なる見解を表明しました。●牧田上越圏域における医療再編に係る県立病院ネットワークの重要性についてお聞きします。現在行われている、上越地域医療構想調整会議で出された意見に、圏域全体の急性期を一つにまとめることを想定している。また、経営母体の結集などが出されております。魚沼や県央などのような基幹病院の構想も考えられるかと思います。そういう中で、上越地域においては現在でも看護師をはじめとした医療人材が不足をし、県立病院は他地域からの異動によって何とか必要人員が充足している状況です。基幹的な病院の運営形態としては、県直営や指定管理などさまざまな方法が検討されると思いますが、いずれにしても、県立病院の人事異動ネットワークを活用する形で、医療人材の確保ができるような再編が現実的と考えますが、知事の所見をお伺いいたします。◆知事上越地域では地域医療のグランドデザインに沿って、抜本的な医療提供体制の見直しに向けた議論が進められているところで、既存の経営主体の枠組みにとらわれることなく、持続可能な医療を提供できる運営方法を検討することにしております。人材確保という点につきましても、まずは、医療人材にとって魅力的な環境を構築し、積極的に選んでいただけるような病院としていくことが何よりも大切だと思っています。そのうえで、県立病院の人事異動ネットワークなどの活用も含めて、さまざまな方法、手段の活用を検討しながら、人材の確保を図ってまいりたいと思います。●牧田8年前に行われた魚沼地域の医療再編では、基幹病院の運営主体が新潟県地域医療推進機構となりました。これにより県立病院からのネットワークから外れて、県立病院からの派遣を行ったにもかかわらず看護師の確保ができず、3病棟が開けられない状況でスタートをしております。上越の再編時にはこの魚沼基幹病院ができたことにより、六日町、小出の県立病院がなくなり、市に移管されました。そして、来春指定管理となる加茂、吉田病院を入れると、少なくとも4つの県立病院が人事異動のネットワークから外れることになります。そうすると、派遣で支援することはさらに困難となります。今回の委員会で、病院局のほうからは上越地域の県立病院職員のうち、地元の人が7割、残りの3割は新潟など他地域間の異動によって必要人員を確保していることが明らかになりました。保健福祉部からは、県立看護大学が地元にあるので、そのアドバンテージを生かして人員確保していくとの回答でしたが、県外の学生は多くが地元に戻るのが現実ですし、県内学生でも県立ではなく異動が出来ない病院であれば、地元上越の学生以外の就職も難しくなるのは明らかであります。これらの状況から、県立病院のネットワーク以外の方法はなかなか見つからないと考えますが、再度、知事の御所見をお願いいたします。◆知事先ほど話したように、医療人材にとって魅力的な環境を構築し、積極的に選んでいただけるような病院としていくことが、何よりも大切だと思っています。そのうえで県立病院の人事異動ネットワークの活用も含めてさまざまな手段、方法の活用を検討しながら、人材の確保図ってまいりたいと思います。●牧田魅力的な病院を作っていくことは大事だと思います。魚沼基幹病院のときも同じような、魅力的な病院という話が出ていたと思うのですが、病床が全部開けられないという状況もありましたので、ぜひ、県立のネットワークを大きな有力な方法として考えていただきたいと思います。次に、子ども条例の制定における、権利救済機関の設置についてです。常任委員会において、今後の子ども条例の制定を機に、広域自治体として救済機関を設置し、県内どこに住んでいても、子供たちが権利侵害の相談ができる体制を整えるべきではないかと質問しました。回答は、児童相談所や教育委員会、法務局など関係機関が対応しているので、これら機関の周知広報、普及啓発に努めていく、また、他自治体の導入事例の情報収集をしながら、今後研究していくというものでした。現在、県内において第三者機関としての子どもの権利救済機関を設置している自治体は一つもなく、県が率先して設置することによって県内自治体にも波及していくものと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。◆知事子どもの権利救済機関としては、現在法務局において、いじめや虐待をはじめ暴力や誹謗中傷、差別など、さまざまな子どもの人権侵害に関して、ワンストップで相談を受け付けております。必要に応じて学校や児童相談所などの関係機関につなぐほかに、中立公正な立場で事実関係を調査し、法律上の助言や当事者間の関係調整を行って、人権侵害を行った者に対して改善を求めるなどの救済措置も行われております。さらに県では、いじめや不登校等に関しては教育委員会、虐待に関しては児童相談所が、それぞれ専用の相談窓口を設置するなど、体制整備を図りながら法務局と緊密に連携し、子どもの権利救済に取り組んでいるところであります。県といたしましては、引き続き関係機関と連携強化を図り、県内のどこに住んでいても子供たちが速やかに権利侵害の相談ができるように、相談窓口の周知広報や普及啓発に努めてまいりたいと思います。●牧田この救済機関について、独立機関については、全国で40を超える自治体で設置をしておりまして、新潟市でも設置を検討していると委員会で答弁をいただいたところです。児童相談所や教育委員会、法務局など、縦割りが相談内容によってということもありますので、ぜひ県に設置をして自治体に広がるように、ワンストップの、行政から独立した機関が必要ではないかと考えます。国連の子ども権利委員会からも勧告をされており、県内の子供たちが健やかな成長をするために、ぜひ設置に向けて再度知事の決意、お考えをお聞かせください。◆知事繰り返しになりますが、現状で法務局の持つ機能というのはまさにワンストップです。さまざまな相談を受ける中で、必要に応じて関係機関につなぐという役割、さらには、事実関係を調査し、法律の助言ができる。あるいは当事者間の関係調整も行って、人権侵害を行った者に対して改善を求める、そうした救済措置もとれる仕組みになっています。こうしたワンストップ機能を十分に生かしながら、それぞれ専門性を持った県の教育委員会や児童相談所が、それぞれの事案に対応した窓口を持っている中で、これらが有機的に連携することが、もっとも子どもの人権救済につながるものだと理解しています。まずは、こうした現状の仕組みをしっかりと子供たちに認識してもらう、あるいは保護差も含めて、周知広報、普及啓発に努めていくことがもっとも権利救済につながるものだと理解しています。●牧田なかなか平行線なのですが、私としては、子どもの権利条例をつくる新潟県が設置することが、子供たちのためにいちばんいいのではないかと思いますので、今後も取り組んでいきたいと思います。3点目は、柏崎刈羽原発の再稼働の判断指標についてです。今年7月に国に要望した原子力災害時の避難路に関する5か所の要望について、委員会の中では要望している5か所がなければ避難できないというわけではないが、効果的に避難できるためのものを要望しているといった答弁がございました。昨年12月の記録的な大雪によって、大規模な車の立ち往生が起きたことも受けて、この要望を行ったと認識しておりますが、この要望が達成されない限り、最低限の避難路の安全確保ができないということではないかと考えますが、柏崎刈羽原発の再稼働への判断指標として、そのような位置づけなのかお伺いしたいと思います。◆知事避難路の整備の状況については、再稼働の判断を行ううえでの一つの材料になるものと考えています。住民避難を円滑に実施するための避難路の整備は大変重要であります。引き続き、国、市町村、関係機関と連携し、避難計画の実効性向上に向けた取組を行ってまいりたいと思います。●牧田最後の質問ですが、検証総括委員会の客観性についてです。検証総括報告書の取りまとめに当たって健康文科会の報告書の引用において、リスクの高い個人に対する長期のモニタリングは記載していないなど、福島原発事故の影響を小さく見せる編集になっていると考えています。総括委員会が総括していれば、こういったことにはならなかったと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。◆知事すでにいろいろな場面でお話をしておりますが、まずこの総括報告書は、県に提出いただきました4つの検証報告書、この概要と、3つの検証を総括した結果で構成されています。4つの検証報告書の概要は、この4つの検証報告書を合計して500ページを超える大部なものとなりますので、県民の皆さまにできるだけ分かりやすく説明するために、用語の解説や図表なども加えまして、それぞれの報告書を要約したものでございます。また、総括した結果は、各検証報告書で重なる部分を整理いたしまして、矛盾等がないのか確認した結果を、分かりやすく取りまとめたものです。総括報告書は、県の担当部局が総力を挙げて、各報告書の内容を精査して取りまとめたものでありますので、しっかりと総括ができたと考えております。●牧田内容についてですが、甲状腺がんのスクリーニングについて、事故後に甲状腺集団スクリーニングの実施は推奨しないと記載をされています。しかし、健康報告書には、国際がん研究機関の提言は2つありまして、先ほどの、推奨しないということと、事故後リスクの高い個人に対して、長期の甲状腺モニタリングプログラム提供を検討するよう提言とあります。国際がん研究機関は、集団のスクリーニングは害の方が多いかもしれないけど、個人のスクリーニング検査は、きちんとやったほうがいいと書いてあります。二つの提言があるのに、片方しか記載をしないというのは、委員会答弁であった要約とは言わないと思いますし、偏った内容の記載にならないようにまとめたとの答弁は、正当性があるとは考えられません。もう一つ例示をしたいと思いますが、答弁でもありました要約したということですが、健康報告書よりも長くなっている部分もあります。44ページから46ページの各ページの下のほうに、参考というのが書かれてあります。本文で国連科学委員会からの報告、福島県の県民健康調査の報告書の内容が引用され記載されているのですが、参考というところにもう一回記載をされています。44、45、46の3ページがありますが、一つだけ紹介すると44ページには、「将来的な健康被害は認められそうにない。」、「統計的有意差を持って確認できるほどの健康影響が認められるレベルではない。」というふうに2つから引用しています。ほかのページも同じようなことが書いてあるのですが、どれも影響はあまりないということを読む人に誘導するような記載がされていると思います。これはどう見ても健康報告書と内容が変わってきていると言わざるをえないと思います。これについて、知事の所見をお伺いいたします。◆知事総括報告書、これは県に提出いただいた合計500ページを超える4つの報告書を、県民の皆さまにできるだけわかりやすく説明するために、用語の解説や図表など、先ほどの参考もそうだと思いますけども、加えて要約したものであって、客観的かつ適切にできていると考えています。この総括報告書は、あくまでも何度も申し上げてますが「要約」でありますので、県民の皆さまには、この要約を契機に、各報告書に関心を持っていただきたいと願っています。●牧田要約書にしては、わざわざ参考というのを入れて、だぶって記載をされたりもしているということで、要約というとちょっと違うのではないかと私は考えております。また、県民のかたもぜひ見比べていただいて、判断をされるかと思います。なかなか知事と見解が合いませんが、私としてはそういう感想を持ち、知事に質問させていただきました。以上で終わります。ありがとうございました。