医療機関の経営悪化と賃金削減への強い懸念物価高騰の影響で、全国的に医療機関の経営はかつてないほど厳しくなっています。県内でも、厚生連病院や魚沼基幹病院で賃金・手当の削減が行われ、県立病院でも同様の動きが検討されています。私は、医療人材の流出につながる賃金削減を公立・民間を問わず安易に行うべきではないと考え、県として国への要望を一層強めるべきだと訴えました。知事は、診療報酬が物価高騰分を十分に反映できていない現状を認め、国に対して緊急支援や次期診療報酬の引き上げを要望してきたと答弁しました。一方で、賃金削減の判断は各病院の経営主体の責任で行うとの考えが示されました。松代病院「経営強化プラン」と無床診療所化の矛盾2024年3月に策定された「県立病院経営強化プラン」では、松代病院の役割が明確に位置づけられ、直前には約3,000万円をかけた改修も行われています。それにもかかわらず、策定からわずか半年で方針を転換し、1年余りで無床診療所化を決めたことは、行政の信頼を根底から損なうものです。病院局は、プラン策定後に医療需要や経営環境が急激に悪化したことを理由に挙げましたが、これほど短期間で方針を覆す行政運営が許されるのか、強い疑問を呈しました。住民説明と合意形成の不十分さ魚沼圏域地域医療構想調整会議では、「住民説明会に地元住民は半分程度しかいなかった」との発言がありましたが、後に地元住民の参加率は75〜80%だったことが判明しました。事実と異なる説明は、住民の反対が少ないかのような印象操作につながりかねません。また、松代・松之山地域の住民7割を含む1万6千筆を超える署名がある中で、住民の意見を十分に反映したとは言えないトップダウンの結論になっている点を問題視しました。診療所化の時期と医療体制への不安2026年4月1日から一挙に無床診療所化することについて、調整会議でも「ハードランディング」「プロセスが不十分」との意見が出ています。にもかかわらず、実施日まで含めて合意したと県が認識していることに違和感があります。救急搬送の実績を見ると、松代病院は軽症や看取りなど地域医療の重要な役割を担ってきました。入院患者のほぼ全員が複数疾患を抱える高齢者であり、こうした患者を十日町病院で本当に受け止めきれるのか、体制面での不安は解消されていません。条例案提出は拙速、撤回すべき診療所化後の具体的な診療内容、人員体制、訪問診療・看護、介護施設との連携や看取り体制が十分に示されないまま、12月議会に廃止条例案を提出したことは拙速だと考えます。県民の命と地域医療を守る立場として、まずは具体的なビジョンと体制を示し、住民の理解と納得を得るプロセスが不可欠です。現段階での条例案は撤回すべきだと、私は強く求めました。以下、質疑応答●牧田全国の医療機関ではかつてないほど経営状況が厳しくなっているが、この間の物価高騰が大きな要因であると考える。県内では、地域医療や不採算の部門を担う厚生連病院や魚沼基幹病院では賃金や手当の削減が行われ、県立病院でも職員の賃金に手を付けようとしている。国は令和8年度の診療報酬の改定や当面は経済対策による緊急支援を行うこととしているが、医療機関の経営改善・維持のため、県としてもさらに要望活動を強め国に働きかけるとともに、公立・民間を問わず、人材流出につながる新潟県の医療を担うすべての職員の賃金削減を安易に行うべきではないと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、医療機関の経営状況の悪化についてお答えします。医療機関の経営改善や維持についてでありますが、現在の診療報酬は、現下の物価高騰等による費用の増加分を十分に賄いきれておらず、個々の病院の努力による経営改善には限界があることから、県では、これまでも、国に対し、足元の対策として、緊急的な支援策を早急に講じることや、抜本的な対策として、次期診療報酬を十分に引き上げることなどを繰り返し要望してきたところです。経営環境が厳しさを増す中、どのように経営改善等を進めるかは、病院の状況に応じて異なり、賃金削減についても、個々の職員の生活や人材確保・人材流出へ与える影響などを考慮しながら、それぞれの経営主体の責任において判断されるものと考えております。●牧田2024年3月策定の「県立病院経営強化プラン」では、松代病院について「民間医療機関の立地が困難な過疎地域において、かかりつけ患者、軽中等症救急患者、急性期を脱した回復期患者などを受け入れる」と明記されている。また、その前の2022年には約3,000万円をかけてリハビリ室の改修工事を行っている。しかし、プラン策定後、わずか半年後に開催された県立病院経営委員会においてプランの方針を転換し、さらに1年余りで松代病院の無床診療所化を方針化した。これは行政の信頼を根底から覆すものである。県は策定したばかりの「県立病院経営強化プラン」を反故にする理由と、このような朝令暮改の行政運営が許されるのか、所見を伺う。●病院局長松代病院の無床診療所化と県立病院経営強化プランとの関係性についてでありますが、令和6年3月に策定した「県立病院経営強化プラン」は、従前の経営状況の下で調製したものであり、新型コロナウイルスの感染収束以降、特に顕著となった地域の医療需要の変化や、物価高騰など経営環境を巡る急激かつ厳しい状況変化、診療報酬の実質マイナス改定等を十分に踏まえた内容となっておりませんでした。このため、令和7年度末にも県立病院事業の内部留保資金の枯渇が危ぶまれる厳しい経営状況を受け、持続可能な医療提供体制の確保を目指して令和6年4月に経営改革推進チームを設置し、患者の疾病状況や今後の患者数の推移等の把握に努めながら経営状況の精査を行い、改革の方針を改めて検討いたしました。その結果、リウマチセンターの新発田病院への統合が必要となるなど、一部プランの内容との齟齬が生じてしまうことから、令和6年9月に開催した県立病院経営委員会において、今後の改革の方向性に即してプランを見直していくことを決定し、直ちに実行に移すことが必要との結論が出されたところです。松代病院の無床診療所化についても、こうした取組の一環として、その背景・課題や対応等を含め、令和7年6月に開催した県立病院経営委員会で説明した上で、方針決定に至ったものであります。●牧田10月7日に開催された「魚沼圏域地域医療構想調整会議」において、病院局は「9月28日に開催した住民説明会には地元住民は半分くらいしかいなかった。」と発言したが、実際には参加者のほとんどが地元住民であった。地元住民の反対が少ないといった印象操作に誘導したのではないかと懸念するが、敢えてそのことに言及したのはどういう意図があったのか伺うとともに、実際の地元住民の参加はどの程度だったのか伺う。●病院局長次に、魚沼圏域地域医療構想調整会議における住民説明会の参加者に関する発言内容についてでありますが、第2回住民説明会終了後に、地元の方から「住民説明会に参加した地元住民は、参加者の半分程度だった」、「参加できなかった住民にも、住民説明会で説明した内容をチラシやリーフレットの配布などで、正しく伝わるようにしてほしい」とのお話をいただいたところです。地元の方のこうした発言を受け、議員ご指摘の発言を行ったものですが、後日、第2回住民説明会における地元住民の参加率を確認したところ、松代会場においては79.5%、松之山会場においては75%となっておりました。住民説明会の地元住民の参加状況を確認せず、事実と異なる発言を行ったことは深くお詫びいたします。なお、発言の誤りと正確な地元住民の住民説明会の参加率については、魚沼圏域地域医療構想調整会議の議事録において、その旨を追記し南魚沼地域振興局のホームページに掲載しているところであります。●牧田厚生労働省の過去の資料では、地域医療構想調整会議での議論の進め方において、「地域の住民が望む医療へのかかり方等を聴取し、ニーズを把握すること」を求めているが、10月7日の魚沼圏域地域医療構想調整会議では、住民の意見を聴取していないほか、松代・松之山の住民の7割を含む16,310筆の署名も考慮せず、住民不在のトップダウンでの結論となり、問題が多いと考えるが、医療提供体制の責任を担う県としてどう考えているのか、知事の所見を伺う。●知事次に、県立松代病院の診療所化問題についてお答えします。まず、地域医療構想調整会議における住民意見の聴取についてでありますが、10月に開催した魚沼圏域地域医療構想調整会議では、松代病院に係る住民説明会での意見や、病院継続を求める署名が共有され、その対応方針も含めて十分に議論を行った上で、松代病院の入院機能を十日町病院に移行することについて合意されたものと認識しております。なお、調整会議の議論の中で、引き続き、地元住民の不安への対応を求める意見もあったことから、今後も、様々な機会や手法による情報発信等により、地元住民から理解が得られるよう丁寧に説明してまいります。●牧田10月7日の魚沼圏域地域医療構想調整会議では、令和8年4月1日から一挙に診療所化することについて、「ハードランディング」であると意見が出たことから、議長は、まとめの中で、病床数の変更、着地点としての最終の目標としての病床を変更するということについては合意を確認したが、「プロセスが十分ではない」「合意形成のためにやるべきことがまだある」などの意見が出たことを踏まえて、「新しい地域のビジョンを住民にちゃんと示すプロセスをしっかり踏んでいただきたい」「住民参加という形をちゃんと踏めるようなプロセスを検討してもらいたい」と申し述べており、松代病院・十日町病院の体制整備については未だ整理されていない中、令和8年4月1日からの松代病院診療所化については合意していないと考えるが、所見を伺う。●病院局長次に、魚沼圏域地域医療構想調整会議における松代病院の無床診療所化に係る合意事項についてでありますが、今回の松代病院と十日町病院の機能・規模の見直しは、地域の医療需要の変化等に対応し、持続可能な医療提供体制を構築するために実施するものであり、松代病院については、外来機能は維持した上で、入院機能を十日町病院に移行するとともに、十日町病院については、機能移行に合わせ地域の回復期の入院機能を強化するものであります。10月に開催された魚沼圏域地域医療構想調整会議では、これらの見直しの背景や内容、令和8年4月1日に無床診療所化することをご説明し、その実施日を含めた方針について合意が得られたものと認識しております。一方で、いまだ住民などから入院機能がなくなることについて不安や懸念の声があることから、議長総括では、その合意を前提に、引き続き外来診療や訪問診療・訪問看護体制の継続について説明が必要であることや、円滑な移行に向けた地域での合意形成の取組が必要との意見が付されたため、引き続き、様々な機会や手法を通じて情報発信や丁寧な説明に努めるとともに、来年4月の移行等に向け、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。●牧田令和7年9月の常任委員会における病院局の説明では、「松代病院は小規模病院であるため、受け入れ可能な患者が限定され、救急車の受入についても、処置が必要な患者の大半が十日町病院に搬送されている。」との説明であったが、実際に松代・松之山地区の住民が十日町病院、松代病院へ搬送された数とその割合はどの程度であったのか伺う。●病院局長次に、松代・松之山地区の住民が十日町病院、松代病院へ搬送された数とその割合についてですが、十日町消防本部に救急搬送の考え方を確認したところ、重症外傷などの重症度・緊急度が高い場合や、生命の危険はないが、入院治療を必要とする中等症程度の場合には、魚沼基幹病院や十日町病院などへ搬送すると聞いております。松代病院には、入院を必要としない軽症患者や看取り等の場合に搬送しており、令和6年度に救急搬送された松代・松之山地区の住民273人のうち、十日町病院では132人で全体の48.4%、松代病院では102人、全体の37.4%を受け入れているところです。なお、無床診療所化後の救急受入れについては、平日日中の軽症患者等は、引き続き松代で対応することとしております。●牧田令和7年9月の常任委員会における病院局の説明では、「昨年度、松代・松之山地域に住所がある後期高齢者の方が十日町病院に100名程度入院しており、複数の疾病を抱えていた方が8割を超えていた。」とのことであったが、昨年度に松代病院に入院した人のうち、複数の疾患を持った後期高齢者の患者の割合はどの程度だったのか伺う。●病院局長次に、昨年度の松代病院の入院患者における複数の疾患を持った後期高齢者の患者の割合についてでありますが、主傷病の他に疾患のある患者は、入院実患者数の98.1%となっております。●牧田魚沼圏域地域医療構想調整会議における議論の中では、「松代病院では総合診療専門医が在籍し、『総合的・包括的』に患者を診ている。地域を支えるオールラウンドプレーヤーとして、医療資源の少ない地域の小規模病院でこそ必要」との意見も出ており、引き続き入院機能の存続が必要と考えるが、県立十日町病院は現在でも看護師など欠員があり、入院患者の診療について懸念がある中、松代病院に入院している入院患者の診療対応について、十日町病院で適切に行える体制を整えることができるのか伺う。●病院局長次に、十日町病院における松代病院からの入院患者の受入体制についてでありますが、十日町地域における今後の高齢者の医療需要の増加に対応するとともに、回復期患者が多くを占める松代病院の入院機能を円滑に移行するため、十日町病院では急性期病棟の一つを地域包括ケア病棟に転換するなど、受入体制の強化を図ることとしております。そのためには、看護師等の医療スタッフの安定的な配置が必要であり、看護師等の不足が生じることのないよう、松代病院等からの職員の異動や新採用職員の確保により、地域住民の皆様が安心できる医療提供体制の構築を図ってまいります。●牧田松代病院では「医師・地域連携室看護師・医療ソーシャルワーカー・介護福祉士・地域包括支援センター・保健師・各特別養護老人ホーム・社会福祉協議会のケアマネージャー」などが毎月1回の連絡会議で積み上げた連携体制がある。また、魚沼圏域地域医療構想調整会議の議論において、「松代病院が次世代の医療人の育成の場として最適。他の地域では得がたい真の地域医療教育の場」との声も上がっており、これまで培ってきた松代病院における地域連携体制や医療教育としての場を、診療所化後どう維持・発展させるかについて、松代病院の診療所化の前に具体的にビジョンを示すべきと考えるが、所見を伺う。●病院次に、松代病院の診療所化後の地域連携や医療教育の場としてのビジョンについてでありますが、これまで培ってきた松代病院における地域連携体制も踏まえ、引き続き、地域の施設との連携・協力や、今後の在宅需要増にも対応できるよう窓口機能を設けることとしており、入院機能が移行する十日町病院と併せ、診療所化後の目指すべき姿の全体像を住民説明会でもお示ししているところです。また、10月の魚沼圏域地域医療構想調整会議における、松代病院の次世代の医療人の育成の場としての重要性についての発言は、松代病院の院長が松代病院の診療所化後も十日町病院と連携しながら、引き続き、魚沼圏域においてその役割を維持・発展させていく趣旨で申し上げたものであります。今後、十日町地域における地域包括ケアシステムの構築や、医療人材の育成に向けて、新潟大学や看護専門学校、福祉・介護施設関係者等と現状の課題を共有しながら、今後の連携や展開を改めて協議するなど、具体的な取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。●牧田松代病院の診療所化後の松代病院・十日町病院の具体的な診療内容・人員体制を示した上での住民説明会が開催されていないことや、訪問診療・看護の具体策、介護施設との連携・看取りの体制が決まっていない中において、12月議会に病院局が議案を出したことは拙速であると考える。地域医療体制を担う県として、12月議会に提案された松代病院の廃止条例案は撤回すべきと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、松代病院の診療所化に係る条例案についてでありますが、病院局からは、これまで、松代をはじめ3か所で合計6回開催した住民説明会などにおいて、松代病院及び十日町病院の具体的な診療内容等について、説明を尽くしたと聞いております。また、10月には、魚沼圏域地域医療構想調整会議において、松代病院を令和8年4月1日から無床診療所化する方針について合意が得られたことに加え、11月の十日町市長及び地元自治組織からの要望においても、松代病院と十日町病院の機能再編について了解をいただいていることから、地域の理解も得られたものと判断し、本定例会に条例の改正案をお諮りしているところです。なお、これまでの住民説明会などにおける具体の説明状況については、病院局長から答弁いたします。●牧田松代病院の診療所化後の松代病院・十日町病院の具体的な診療内容・人員体制を示した上での住民説明会が開催されていないことや、訪問診療・看護の具体策、介護施設との連携・看取りの体制が決まっていない中において、12月議会に病院局が議案を出したことは拙速であると考える。地域医療体制を担う県として、12月議会に提案された松代病院の廃止条例案は撤回すべきと考えるが、知事の所見を伺う。●病院局長次に、松代病院の診療所化に係るこれまでの住民説明会などにおける説明状況等についてでありますが、松代病院については、入院機能を十日町病院に移行後、地域の身近な医療を支える拠点として、3つの機能を維持することを掲げているところです。1つ目は、外来機能として、内科、整形外科、精神科の現在の診療枠を維持すること、2つ目は、地域での生活を支える在宅医療として、訪問診療と訪問看護についても現在の診療枠を維持することを、具体の診療枠をお示しした上で説明しております。3つ目としては、これまで病院が培ってきた地域の施設等と医療の窓口機能を整備することを説明しており、これらの機能を担う職員体制についても、現在調整中の案ではありますが、11月に松代・松之山地域に全戸配布された自治振興会の広報誌に掲載していただき、お示ししているところです。また、入院機能の移行先である十日町病院については、回復期患者の受入体制を強化するため、急性期3病棟、回復期2病棟の病棟構成に変更することに加え、議員ご指摘のこれまで松代病院が担ってきた往診や夜間・休日の電話相談や患者受入れ、看取りなどの対応についても、十日町病院が患者・家族の状況に配慮して対応することなどを住民説明会等を通して説明してきたところであります。しかしながら、魚沼圏域地域医療構想調整会議において松代病院の入院機能の十日町病院への移行等について合意をいただいた際にも、住民の不安や懸念の軽減に向けた取組がさらに必要との意見もいただいていることから、来年1月には無床診療所化後の地域の医療提供体制が一目でわかるリーフレットの全戸配布をするなど、十日町市や自治振興会の協力を得ながら、引き続き、様々な機会、手法を通じて、丁寧に説明してまいります。