9月27日の新潟県議会一般質問で、県政の重要課題について活発な議論を展開しました。農業問題では、コメの品不足や価格上昇に対する国の対応を問い、コメ消費拡大のための「ご飯もう一杯運動」の提案、農業法人の多角化支援、ほ場整備事業の柔軟な対応を求めました。また、柏崎刈羽原子力発電所に関する国の説明会の在り方や東京電力の運転適格性、地下式フィルタベントの進捗状況についても鋭く追及しました。さらに、上越地域の医療再編では、新潟労災病院の閉院に伴う対応や中期再編の方向性について、既存の病院を活用する合理性を主張。旧優生保護法に関する最高裁判決を受け、県の責任と被害者支援の充実も訴えました。職員の公益通報制度の改善、日中友好交流の促進、第4種踏切の安全対策、上越・新潟間の交通利便性向上、新潟県パートナーシップ制度の活用拡大など、多岐にわたるテーマで県の対応を問い質しました。以下に一般質問のやり取りを掲載します。農業問題について●牧田今夏から秋にかけて、大都市ばかりでなく当県においてもスーパーマーケットなどからコメが消え、大幅な値上がりも見られた。理由は昨年の異常気象によるコメの品質低下、インバウンドによる需要増、南海トラフ地震の緊迫化などが原因と言われている。農林水産省によると、本年6月時点でのコメの民間在庫量は156万玄米トンと、対前年比で20.8%下回っている。政府は、このような事態になっても100万トンの備蓄米の放出は行わなかったが、国の方針についてどのように評価しているのか伺う。●農林水産部長今般、米が店頭からなくなった際に、政府が備蓄米の放出を行わなかったことについての評価でありますが、国では、備蓄米の放出は、大凶作や災害等により民間在庫が著しく低下し、米が供給不足となった際に、作柄、在庫量、市場の状況、消費行動、価格及び物価動向等を考慮し、有識者による審議を踏まえ、農林水産大臣が決定することとしており、この度の事例は、そのような状況ではないと判断したものと受け止めております。しかしながら、一時的とは言え、店頭に米が置かれていない事態となったことを踏まえれば、消費者への主食の安定供給という観点から、国には、様々な状況を確認し、もう少し早い時期からきめ細やかな情報発信に努めていただきたかったと考えております。●牧田今年6月に施行された改正食料・農業・農村基本法に基づき、農政の方針を定める食料・農業・農村基本計画の改定作業が始まり、審議会での議論を経て来年3月に閣議決定が行われる予定である。基本計画では、「食料自給率の向上その他の食料安全保障の確保に関する事項の目標」を定めるが、2000年3月に基本計画を策定して以降、食料自給率の目標は一度も達成されたことがない。その要因の一つとして、主食であるコメの消費が減少傾向であることが考えられる。このため、コメの生産量1位の新潟県が、コメの消費を増やすため仮称「ご飯もう一杯運動」に取り組み、コメの消費拡大を図るべきと考えるが知事の所見を伺う。●知事牧田議員の一般質問にお答えします。まず初めに、米の消費拡大についてでありますが、米の消費拡大を進めるためには、食生活の多様化に対応したご飯以外の食べ方も含めて、栄養バランスに優れた「ごはん中心の日本型食生活」を定着させていくことが効果的であると考えております。このため、県では、関係機関や学校等と連携し、日本型食生活への理解促進や普及啓発に加え、食育の観点で米飯給食の推進に取り組むとともに、パンや麺等の米粉商品の需要拡大など、様々な角度から米の消費拡大に取り組んでまいります。●牧田県内の農業法人には、高齢化に伴う後継者や担い手不足により、解散を余儀なくされているところがあると聞く。担い手不足の解消のためには、収入を増やし、通年雇用をおこなうことがカギとなることから、農事組合法人を株式会社化し、道路除雪や道路の草刈りを行うなど経営の多角化に取り組むことで、農閑期の収入を確保する工夫などが行われていると承知している。県も積極的に経営の多角化に向けた法人の支援を行っていると思うが、現状と今後の課題について伺う。●農林水産部長次に、農業法人の経営の多角化に向けた支援の現状と今後の課題についてでありますが、県内の農業法人は稲作中心の経営が大半を占めており、農業経営の発展に向けては、規模拡大と併せ、多角化等により経営の幅を広げることが重要であると考えております。一方、県内農業法人の形態として最も多い農事組合法人は、事業内容などに一定の制限があり、後継者を確保できていない法人もあると認識しております。このため、県では外部専門家とも連携し、株式会社化することで農業以外の受託を含め経営を多角化し、通年での雇用や収入の増加などによる経営基盤の強化を図り、後継者を確保できるよう支援しているところであり、今後も多角化の取組拡大に向け、伴走型で支援してまいります。●牧田県では、園芸産地の育成・拡大を推進するため、令和元年度以降の新規着工地区については、2割以上の園芸品目の導入を推進しており、今年から従来の「面積」に、「販売額」を新たに追加したものと承知している。一方で、本県には稲作に適した土地が多く、園芸品目の導入には多額のコストや手間がかかることから、稲作で稼ぐことができるのであれば、必ずしも園芸2割をほ場整備の要件とせず、柔軟に対応すべきと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、ほ場整備における園芸の導入についてでありますが、農業者の所得や本県の農業産出額を向上させるためには、稲作の規模拡大や生産コストの低減に加えて、園芸産地の育成・拡大による経営の複合化等を推進する必要があります。一方、土壌水分の影響を受けやすい園芸作物の安定生産には、暗きょ等の設置による水田の汎用化を図る必要があることから、令和元年度以降は、園芸品目の導入・拡大を目指す地区の採択を優先しております。県といたしましては、引き続き稲作の生産性の向上に資する大区画化や園芸導入を可能とする水田の汎用化等、地域が目指す営農を実現するほ場整備を推進してまいります。●牧田国内の農業を未来にわたって守るためには、直接払いの戸別所得補償が必須と考える。国に対し、実施に向けて強く要望するとともに、当面、当県においてモデル事業として実施すべきと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、直接支払いの戸別所得補償についてでありますが、 かつての農業者戸別所得補償制度では、主食用米の生産を支援する一方で、非主食用米や麦・大豆等の生産を誘導するインセンティブが弱かったことから、主食用米の過剰生産が解消されず、米価の安定には繋がらなかったなどの課題があったと認識しております。また、県では平成21年度から5年間、非主食用米生産のインセンティブを高める「新潟県版所得保障モデル事業」を実施し、その成果は、非主食用米への支援を拡充し、生産誘導する仕組みとして、国の経営所得安定対策等制度に反映されたものと受け止めております。県といたしましては、食料の適正な価格形成が可能となる環境整備や、万全なセーフティネットの構築など、農業者が将来展望を持って農業経営に取り組めるよう、国に要望してきたところであり、引き続き、機会を捉え働きかけてまいります。●牧田7月から8月にかけて、柏崎刈羽原子力発電所に係る国の取組に関する県民説明会が県内で7回開催された。多くの人から質問を受けたいということは理解できるが、質問時間を、一人1分程度を目安とする方法は、国側のすれ違いの答弁が多い中で、参加者の不満がたまるものとなったと考えており、県が行ったアンケートでも、回答者の6割近くが、理解が深まったとは言えないと答えていたと知事は記者会見で述べている。今回の説明会は国の依頼に応じて県が開催したものであるが、県としてどのように総括し、今後、県民の疑問に答えるため、どのように取り組んでいく考えなのか伺う。●知事次に、柏崎刈羽原子力発電所についてお答えします。まず、柏崎刈羽原子力発電所に係る国の取組に関する県民説明会についてでありますが、この説明会は、国から県に対して、柏崎刈羽原子力発電所に係る国の取組について、県民へ説明する機会を設けたいとの協力依頼があり、県としましても、県民に理解を深めていただくことは重要と考え、県が7月から8月にかけて開催したものです。参加者アンケートの結果では、国の取組への理解が深まったと回答した方が約3割にとどまり、また、同じ方が何度も参加されていたと聞いており、今後、より多くの県民に理解をしていただけるような取組が必要と考えております。国は今後、説明会や情報発信の取組を強化すると聞いておりますが、県民の理解をさらに深めていただくため、今回の説明会の状況を踏まえ、テレビ、ウェブ、SNSなど多様なメディアを活用し、より多くの県民に伝わるよう工夫をしながら、繰り返し分かりやすく丁寧に説明していただきたいと考えております。 柏崎刈羽原子力発電所について●牧田8月下旬、福島第一原発2号機でのデブリ取り出し作業時に、デブリ取り出し装置を格納容器に押し込むパイプの接続順を誤るという、信じられない作業ミスが起った。さらに、作業時には東京電力社員が一人も現場に立ち会っていなかったことも明らかとなっている。福島第一原発では、昨年10月以降、作業員が放射性物質を含む廃液を浴びる、地中ケーブルを損傷し停電が発生するなどの事案が立て続けに発生しており、原子力規制委員会は、7月16日の会合で「東京電力がトラブルのたびにまとめる社内教育や作業手順の見直しなどの再発防止策が有効なものになっていない」と指摘したうえで、対策の実効性を高めるよう求めたと報じられたばかりだった。昨年12月、原子力規制委員会は東電に対し「運転を適確に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない」との結論を変更する理由はない、とお墨付きを与えた。しかしながら、こういったミス、トラブル以前の問題が発生している状況を見るにつけ、適格性があるとは言えないと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、東京電力の運転適格性についてでありますが、昨年12月に原子力規制委員会は、東京電力の運転適格性がないとする理由はないと改めて判断しましたが、今後とも、原子力規制検査をはじめとする規制活動を通じて東京電力を監視していくとしており、引き続き、厳格に対応していただきたいと考えております。一方、これまでの不適切な事案により、今もなお東京電力に対する県民の信頼は大きく損なわれていると考えております。今後、国が前面に立って、柏崎刈羽原発のガバナンス体制を強化することとしており、その取組を確認してまいります。 ●牧田地下式フィルタベントについては、中越沖地震の際、泉田元知事が、柏崎刈羽原発敷地内で最大約1.6メートルの地盤沈下が起こっていることを踏まえ、原子炉建屋と一体でないことを問題視し、地震による不等沈下により配管が外れ、大量の放射性物質が漏れると指摘し、東京電力ホールディングスが地上式とは別に地下式フィルタベントを設置することを約束してきた経過があると承知しているが、地下式フィルタベントの工事の進捗状況について伺う。●防災局長柏崎刈羽原発の地下式フィルタベント設備の工事の進捗状況についてでありますが、東京電力は、地下式フィルタベント設備を特定重大事故等対処施設に位置づけており、セキュリティの観点から設備の詳細を公開しておりません。また、原子力規制委員会においては、特定重大事故等対処施設について「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」に基づき、セキュリティの観点から、設備の詳細を公開しておりません。このため、地下式フィルタベント設備の工事の進捗状況は承知しておりません。●牧田地下式フィルタベントは、東京電力ホールディングスは自主設備として位置付けていたが、現在は設置が義務付けられている特定重大事故等対処施設と位置付けられ、設置までの猶予期間があるものと承知している。 一方で、地下式フィルタベントは県に設置を約束したものであることから、猶予期間に関わらず、設置が完了し、効果の確認が技術委員会で終わるまでは再稼働できないと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、柏崎刈羽原発の地下式フィルタベント設備についてでありますが、フィルタベント設備の効果については、地上式フィルタベント設備の性能に関して、技術委員会において、セシウム等の沈着性の放射性物質の除去に、十分有効であることを確認していただきました。なお、東京電力から地下式フィルタベント設備は地上式フィルタベント設備と同等の性能を有していると説明を受けています。また、地下式フィルタベント設備の設置については、今後の柏崎刈羽原発の再稼働の議論の中で当然議論されていくものと考えております。 上越地域における医療再編について●牧田新潟労災病院の閉院が令和8年3月末に決定し、新潟労災病院が担っていた整形外科手術は、県立中央病院と厚生連上越総合病院に機能移行をするとされた。県立中央病院の手術室の増設が、新潟労災病院の閉院期日に間に合わないため、地域全体で優先順位をつけ、緊急性の低い疾患については手術実施時期等を調整しながら対応するとされた。具体的に、地域全体での優先順位付けをどのように行うのか伺うとともに、緊急性が低い疾患とはいえ、手術が遅れることで患者等に問題が生じることはないのか伺う。●福祉保健部長新潟労災病院閉院に伴う整形外科手術の対応についてでありますが、新潟労災病院の医療機能低下に対し、同院の医療機能を地域の受け皿病院に移行する短期再編を行うことに合意し、関係者による具体的方法などの検討を行ってきました。整形外科分野では、既に新潟労災病院が内科疾患を伴う緊急手術の引受ができないため、県立中央病院の手術室の増設前ではあるものの、早期の機能回復に向けて短期再編を急ぐべきとの認識のもと、再編時期を令和8年3月末とすることを関係者間で確認したところです。具体的な対応にあたっては、患者に医療的な問題が生じないよう、急性期外傷などの緊急度の高い手術を優先し、緊急性の低い疾患は実施時期等を調整して対応するという基本的な考え方について、改めて各受け皿病院や各医師間で共有しながら、手術枠を最大限活用した運用の検討や、必要に応じて圏域外への紹介を含めた調整などを行うほか、県としても引き続き病院間の調整に努めてまいりたいと考えております。●牧田8月30日に開催された上越地域医療構想調整会議では、中期再編に係る議論が行われた。人口減少が進む中、医療再編は必要だと認識しているが、先行した魚沼圏域や県央圏域のように基幹病院を1か所に集約すると、災害時や医療トラブルの際にバックアップが効かないなどのデメリットが大きく、派遣医師が引き上げられるリスクなどが懸念されることから、新たな中核病院を建設するのではなく、既存の県立中央病院と厚生連上越総合病院の両病院を核として再編を行ったほうが、新病院建設費を医療機器購入費等に回すことができるため、合理的であると考えるが知事の所見を伺う。●知事次に、上越地域における医療再編についてお答えします。上越医療圏における中期再編についてでありますが、これまで、上越地域医療構想調整会議では、人口減少局面でも医療を提供し続けるためには、地域医療構想グランドデザインに基づき、医療資源の効果的・効率的な活用を図りながら対応力の大きい病院を地域の中に残す必要があり、そのためには高度専門的な医療や急性期医療を担う中核病院は一つに集約するべきであるとの合意に至ったところです。こうした考えの下、先月の調整会議では、上越医療圏で将来必要となる規模・機能について合意したところです。いずれにせよ、新しい中核病院のあり方については、今後検討していくべき主要な論点の一つと考えており、議員ご指摘の経済合理性も考慮しながら、スピード感を持って議論を進めてまいります。旧優生保護法について●牧田旧優生保護法下で優生手術を強いたのは憲法違反だとして、障害のある人らが国に損害賠償を求めた5訴訟の判決で、最高裁大法廷は7月3日、旧法は違憲とし、国の賠償責任を認める初の統一判断を示した。県は、法に基づき優生保護審査会を設置し、優生手術に関する適否の審査を行うなど、手術を進める立場でもあったことも踏まえると県にも責任の一端はあるものと考えるが、この最高裁判決に対する知事の所見を伺う。●知事次に、旧優生保護法についてお答えします。まず、旧優生保護法を巡る最高裁判決についてでありますが、旧優生保護法の下で、多くの方々が本人の同意なく不妊手術が行われていたことは大変残念なことであり、法律に基づいて国が進めてきたことではありますが、県としても重く受け止め、大変申し訳なく思っております。多くの方々が心身に多大な苦痛を受けたことに対して、法律に基づく一時金が着実に支給されること、また、国において検討されている新たな補償について、早期に対応されること、そして、こうした事態を二度と繰り返さないようにすることが何より重要と考えております。●牧田最高裁判決を受け、超党派議員連盟のプロジェクトチームが新たな補償制度の検討を行っていると承知している。補償制度が確定したのちには、県として、病院、保健所、障がい者施設、学校などに対し実態調査を行うよう、国に働きかけるとともに、説明会や相談会を開催するなど、一人でも多くの被害者の方が補償を受けることができるよう、精力的に取り組むべきと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、一人でも多くの被害者が補償を受けられるような取組についてでありますが、新たな補償制度について、超党派議員連盟プロジェクトチームにおいて検討が進められ、現時点では、補償制度法案の素案が示されている段階と承知しておりますが、実態調査については、国が、旧優生保護法に基づく不妊手術や人工妊娠中絶に関する調査を実施すると聞いており、まずは、その動向を注視したいと考えております。また、補償の対象者については、一時金支給の対象者より範囲が広がる方向で検討が進められていることから、これまで一時金支給に当たって実施してきた、ホームページでの情報発信や、市町村、医療施設・福祉施設等へのリーフレットの配布などの取組に加え、議員ご指摘の説明会・相談会の開催を含め、一人でも多くの被害者の方が補償を受けることができるような周知方法について検討してまいります。●牧田現在、県では、障害者差別解消のための条例の制定に向けた取組を行っているが、同条例について、旧優生保護法によって社会に浸透してしまった優生思想や障がい者に対する偏見をなくすことも包含した内容とすべきと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、障害者差別解消のための条例の内容についてでありますが、障害者に対する差別は、社会における様々な障壁によって生じるものでありますが、議員ご指摘の優生思想や障害者に対する偏見といった観念も、その一つとなります。条例案については、社会的障壁についての理解を深め、障害にかかわらず分け隔てなく社会で受け入れ合うという考え方を基本に、施策を策定・実施することとしており、条例に基づき差別解消の取組を進めることが、障害者に対する偏見等をなくすことにつながるものと考えております。 公益通報について●牧田公益通報者保護法の施行を受け、本県では、職員からの公益通報について、通報窓口、処理手続等を定める「新潟県職員の公益通報に関する要綱」を平成18年6月に制定した。この要綱制定以降の通報件数と内容について伺う。●総務部長職員の公益通報制度の通報件数及び内容についてでありますが、「新潟県職員の公益通報に関する要綱」を制定した平成18年6月以降、18件の公益通報があり、その内容については、公文書作成や公印使用、補助金事務などに関する通報が寄せられております。●牧田消費者庁「令和5年度行政機関における公益通報者保護法の施行状況調査結果概要」によれば、従業員300人超の行政機関に勤める公務員が、勤務先の内部通報窓口を認知している割合は45%と半数にも満たず、本県においても、公益通報制度が職員に十分認知されていないものと想像する。公正な県政の運営のため、職員に対し、制度や通報窓口の周知を適切に行うべきと考えるが、県の対応について伺う。●総務部長次に、職員の公益通報制度の周知についてでありますが、知事部局においては、階層別研修や庁内のポータルサイトを通じて、制度や通報窓口について、職員への周知を図っているところであり、今後は、研修の対象階層を拡大するなど、機会を捉えて職員への周知に努めてまいります。●牧田「新潟県職員の公益通報に関する要綱」によれば、職員は、人事課長または別に指定する弁護士資格を有する者に対して公益通報を行うとされている。公益通報職員は「通報をしたことによって、いかなる不利益な取扱いも受けない」とされているが、他県では、配置転換が行われたり、直近の兵庫県では、公益通報職員が、通報後に懲戒処分されたりする事例が出ている。通報窓口が人事課内にあることで、不利益な配置転換等を危惧した職員が公益通報を躊躇することで通報対象事実の早期把握が妨げられるおそれがあると考える。現在の県の公益通報制度の運用に問題は無いのか、知事の所見を伺う。●知事次に、公益通報についてお答えします。職員の公益通報制度の運用についてでありますが、国のガイドラインでは、内部公益通報の受付窓口は全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置することとされております。これを踏まえ、県では、コンプライアンスを所掌する人事課を受付窓口としているところであり、他県においても多くの県が同様となっております。一方で、公益通報制度の実効性を確保する上で、職員が不利益な取扱いをおそれ、通報を躊躇するようなことはあってはならないと考えており、公益通報をしたことを理由として不利益な取扱いは行わない旨を要綱に明記しているほか、外部弁護士による通報窓口の設置や、匿名通報の受付も行っているところです。現状において、制度運用に特段の問題は生じていないと考えておりますが、今後も適正な運用がなされるよう努めてまいります。 県政の諸課題について日中友好交流の促進に向けて●牧田8月26日から30日まで、県議会訪中代表団の一員として広東省及び黒龍江省を訪れた。今、両国間の関係は決して良好とは言えない状況だが、そういうときこそ、地方自治体レベルでの交流を強化していかなければならない。これまで黒龍江省とは、県省間の職員相互派遣やスポーツ交流事業をはじめ様々な交流事業などを展開してきたものと承知しているが、これまでの交流事業等の総括と、児童生徒の交流を含めた更なる人的交流、経済・観光分野での相互発展に向け、どのような方針で臨んでいくのか知事の所見を伺う。●知事次に、県政の諸課題についてお答えします。まず、黒龍江省との交流についてでありますが、昭和58年の友好提携以降、平成10年に就航した新潟ハルビン線も活用しながら、経済、教育、農業など様々な分野での取組を続けてきたことにより、黒龍江省との人的・経済的交流が進むとともに、次世代につなぐべき友好関係が構築されたものと考えております。また、地方間の交流を進めていくことは、両国間の交流を発展させる力になるものと考えております。このため、県といたしましては、議員ご指摘の、児童・生徒など若い世代等の人的交流や、経済・観光分野を含め、お互いの交流ニーズを見極めながら、黒龍江省との共同プロジェクトや新潟ハルビン線の利活用などに取り組み、双方に利益のある交流を進めてまいります。 第4種踏切について●牧田今年4月、群馬県高崎市の第4種踏切道において小学4年生が電車にはねられて亡くなるという痛ましい事故が発生した。遮断機も警報機も設置されていない第4種踏切道は、令和4年度末時点で県内に45か所ある。近隣住民の安全と利便性を考えると、自動踏切遮断機が設置された第1種踏切道に改良することが得策と考えるが、鉄道事業者、特に第3セクターのえちごトキめき鉄道などの事業者には相当の負担で、経営状況を考えれば、第1種化は非常に困難である。死亡事故が起きた高崎市は第1種化する場合の費用負担を表明するなど、行政でも第4種踏切道の改良に向けた動きがみられる。県としても、第4種踏切道を改良する際の支援に取り組むべきと考えるが、所見を伺う。●交通政策局長第4種踏切道の改良に向けた支援についてでありますが、第4種踏切道は、現在の鉄道の技術基準には適合せず、制度上経過措置により認められておりますが、地域住民の安全性の確保の面からも、鉄道施設の設置・管理主体である鉄道事業者が地域の意向等を踏まえ、廃止若しくは踏切保安設備の設置による第1種化などの対応を行っていくべきものと考えております。なお、第1種化に当たっては、国庫補助制度が設けられていることから、基本的には当該制度を活用して整備していくものと考えておりますが、鉄道事業者と関係者の協議状況等については、注視してまいります。 上越地域と新潟地域間の利便性の向上●牧田上越地域と下越地域を結ぶ基幹交通網は、中期的にみると「運賃値上げ・乗客数の減少・減便」のスパイラルにはまっており、両地域間の移動は非常に不便な状況である。昨年6月議会において、交通政策局長は、上越地域と下越地域のアクセス向上について、「JRに対し上越地域と下越地域を結ぶ優等列車の充実や、利便性向上を図るための割引料金の設定などを強く求めてきた。今後もこのような働きかけを行うとともに、信越本線等の高速化に関する検討や、高速バスネットワークの維持・確保など、基幹交通網の充実と利便性向上に取り組む」と答弁しているが、基幹交通網の充実と利便性向上に向けたこの間の取組について伺う。また、交通事業者に対し、増便や利便性の向上を強く働きかけるとともに、利用しやすい割引料金制度の導入を支援することが必要と考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、上越地域と下越地域を結ぶ基幹交通網の利便性向上等についてでありますが、両地域間の基幹交通網の充実と利便性を高めることは、地域の活性化や本県の拠点性向上のためにも重要であると考えております。利用しやすい割引料金制度の導入については、黒字会社であるJRが、利用者サービスの向上の観点から対応すべきものと考えており、県といたしましては、新潟県鉄道整備促進協議会等を通じて、優等列車の増便や、割引料金などの利便性向上について、JRに対し強く働きかけてきております。なお、基幹交通網の利便性向上等に向けた取組については、交通政策局長から答弁いたします。●牧田上越地域と下越地域を結ぶ基幹交通網は、中期的にみると「運賃値上げ・乗客数の減少・減便」のスパイラルにはまっており、両地域間の移動は非常に不便な状況である。昨年6月議会において、交通政策局長は、上越地域と下越地域のアクセス向上について、「JRに対し上越地域と下越地域を結ぶ優等列車の充実や、利便性向上を図るための割引料金の設定などを強く求めてきた。今後もこのような働きかけを行うとともに、信越本線等の高速化に関する検討や、高速バスネットワークの維持・確保など、基幹交通網の充実と利便性向上に取り組む」と答弁しているが、基幹交通網の充実と利便性向上に向けたこの間の取組について伺う。また、交通事業者に対し、増便や利便性の向上を強く働きかけるとともに、利用しやすい割引料金制度の導入を支援することが必要と考えるが、知事の所見を伺う。●交通政策局長次に、上越地域と下越地域を結ぶ基幹交通網の利便性向上等に向けた取組についてでありますが、鉄道につきましては、上越・北陸新幹線直行特急実現期成同盟会等と連携し、優等列車の便数回復をはじめ、IC乗車券の利用駅拡大や、特別企画乗車券の対象エリアの拡充などの要望をJRに働きかけております。さらに、こうした要望の実現に向けて、利用者の増加を図ることが重要であるため、沿線市とともに、沿線市内の企業や大学と連携した利用促進策を検討するとともに、優等列車を利用する旅行商品の造成などに取り組むこととしております。県内高速バスにつきましては、利便性向上を図るため、デジタルチケットを活用した企画乗車券の造成などに取り組んでおります。 新潟県パートナーシップ制度について●牧田今月2日、性的少数者のカップルについて、新潟県が関係を公的に証明する「新潟県パートナーシップ制度」が始まった。制度導入により、公営住宅への入居や生活保護の世帯認定などの行政サービスが受けやすくなることが期待される。また、民間においても同性パートナーを住宅ローン審査時の収入合算などの対象とする制度を始めたと承知している。今後、より多くの方が暮らしやすくなるよう、県民に対し、性に関する多様性の理解を広げるとともに、県が率先してこの制度を利用したサービスメニューを増やすことにより、自治体や民間など多くの団体にこの制度を利用したメニューの充実を促していくことが重要であると考える。改めて、県として現時点では、どのような行政サービスが利用できるのか伺う。●知事政策局長パートナーシップ制度を利用できる県の行政サービスについてでありますが、 県営住宅の入居申込や、県税に係る納税証明請求書をパートナーの方に代わって提出する際に、パートナーとの関係性を示す書類として、パートナーシップ証明書を利用することが可能です。また、性的少数者の方からは、世帯や家族等に関連する行政サービスについて、パートナーシップ関係にあるお二人が対象になるのかわからないとのお話を伺っていることから、生活保護制度など、証明書の有無に関わらず、所定の要件を満たすことで利用できるものも含め、現時点で8件の行政サービス等を公表しているところです。再質問●牧田自治体や民間など多くの団体に「新潟県パートナーシップ制度」を利用したメニューの充実を促していくためには、県庁内の制度の取扱いを変えていくことも必要であり、県がまずできることとして、県職員の休暇制度がある。現在、届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情となるものを含んで取得できる忌引休暇や介護休暇などについて、パートナーシップ制度利用者も取得できるよう取扱いを変更すべきと考えるが知事の所見を伺う。●知事答弁次に、パートナーシップ制度を利用する職員の休暇の取扱いについてでありますが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を対象に含んでいる休暇について、本県同様、パートナーシップ制度を導入している他県においては、現状、それぞれ対象としている休暇は異なるものの、多くの県が休暇の対象としていることから、こうした他県の取扱いも参考としつつ、パートナーシップ制度の趣旨も踏まえながら検討してまいります。●牧田柏崎刈羽原発の地下式フィルタベントですけれども、特重(特定重大事故等対処施設)ということで、進捗状況は公表できないということでありました。それはそういうことだろうと思うんですけれども、それでは、完成した時には公表されるのかどうか分かりませんけれども、先ほど知事の御答弁の中で、再稼働に向けての議論がされるということでありましたので、そこら辺はある時点で明らかになるのかどうか、どうやって議論をするのか、その点をお願いしたいと思います。それから、公益通報についてですけれども、他県でも窓口が人事課のところが多いという答弁だったんですが、近隣で調べたところ、長野は公益通報推進監というのを置いていますし、富山では広報課が中心ですし、山形でも広報広聴推進課、秋田では行政経営課ということで、他に人事課というところもあるのかもしれませんけど、他の課のところも結構あります。それで、消費者庁の内部公益通報対応体制の整備に関するQ&Aによりますと、人事部門に内部公益通報受付窓口を設置することはできますか、という質問については、人事部門に内部公益通報受付窓口を設置することが妨げられるものではありませんが、人事部門に内部公益通報することを躊躇する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることに留意が必要です、ということが書いてあります。したがって、この制度が出来てから18件内部通報があったということで御答弁いただきましたが、私も職員でおりましたけれども、人事課というのは違うところだと思いますので、今のQ&Aにもありましたが、本当に人事課で適切なのか。弁護士が窓口になっているということもありますが、やはり、窓口を移すということも検討できるのではないかと思いますので、その2点、お願いをしたいと思います。●花角知事地下式フィルタベントの設置については、東京電力と県との間で設置について約束されているだけで、その具体的な取扱いについては固まったものがあるわけではありませんので、先ほど申し上げたように、再稼働の今後の議論の中で当然、その取扱いについて議論されていくものだと思っています。それから、公益通報制度については、匿名通報の受付も行っている、あるいは外部弁護士の通報窓口の設置もしているというところで、運用に配慮されていると思いますけれども、今後も適正な運用がなされるように、牧田議員の御意見も踏まえながら、検討はしていきたいと思います。●牧田公益通報の方はぜひお願いしたいと思いますが、地下フィルタベント、今御答弁いただきましたけれども、ベントができたかできないか分からないのに議論、いつするのかなというのが分からないのですけれども、そこがもし分かればというか、どういうふうに判断されるのか。できたかできないかずっと公表されないまま来るのであれば議論できないと思いますし、そもそもこれは当時の知事と廣瀬社長が必要だということで約束したものなので、それがやっぱり完成しなければ再稼働はできないと。東京電力のほうも必要だということで、造るという約束をしたわけなので、そこがやはり完成しなければ、少なくともフィルタベントについて言えば、再稼働できないというふうに思いますので、その点再度お願いしたいと思います。●花角知事特重に位置付けられていますので、特重の完成は猶予期間とつながっていますので、当然、完成そのものはいずれ分かることになると思います。