新潟県議会2月議会一般質問において、新潟県政の多岐にわたる課題について一般質問を行い、各担当者から現状の評価と今後の対策を問いました。主なテーマは以下の通りです。医療・人材育成:地域医療再編や県立病院の職員育成、早期退職防止対策など。企業・公共事業:電気事業の維持管理、工業用水道の老朽化対策、新事業による経営基盤の強化など。交通・教育・その他:公共交通の利便性向上、フリースクール認証制度の検討、産休・育休代替措置の強化など。各質疑応答を通じ、県民の生活に直結する施策の現状と今後の取り組みが、具体的な事例を交えながら明らかにされています。地域医療について●牧田上越圏域の医療構想の中期再編については、中核病院のあり方や地域包括ケアシステムを担う各病院に必要な病床数などを検討し、今年度中に調整会議における素案合意を目指すとされているが、今後の見通しについて伺う。また、調整会議で素案が示された後は、速やかに住民及び病院職員に対して説明の機会を持つべきと考えるが、実施の予定について伺う。●知事次に、地域医療についてお答えします。上越医療圏における中期再編の進捗についてでありますが、昨年8月に行われた上越地域医療構想調整会議のあと、中核病院の運営方法などについて、上越医療圏で急性期医療を担う病院の開設者である県病院局と厚生連との間で設けた協議の場等を通じて検討を進めているほか、圏域内の3市も含めた議論も行っているところです。また、地域包括ケアシステムを担う病院の病床数についても、地域の患者像に合ったものにするため、現状の入院患者などに関する分析を進めながら、地域の関係者と検討を行っております。 引き続き、関係者と協議・調整を進め、年度内の再編素案の合意を目指してまいります。なお、住民等への説明については、福祉保健部長から答弁いたします。●福祉保健部長次に、上越中期再編の検討結果にかかる住民等への説明についてでありますが、地域医療構想の実現にあたっては、住民の理解を得ながら進めることが重要であることから、上越地域医療構想調整会議における検討結果については、これまでも、地元市と相談のうえ、住民説明会を開催して説明を行ってきたところであり、今後とも、継続していきたいと考えております。なお、病院職員に対する説明については、病院の管理運営に責任のある開設者や病院長から説明いただくことが、適切であると考えております。●牧田県は魚沼基幹病院への県立病院の職員派遣について、魚沼基幹病院で職員確保の目処が立ったとし、令和9年度末を目途に解消する方針を示している。現状では、病棟師長等の管理職はほぼ派遣者が務めているが、派遣解消までの3年間で管理職育成の目処は立っているのか、所見を伺う。●福祉保健部長次に、魚沼基幹病院の病棟看護師長等の育成についてでありますが、 魚沼基幹病院の運営法人によりますと、今年度当初時点において、480人の看護職員のうち約8割がプロパー職員となっており、独自の人員確保が進んできているところですが、開院から10年目を迎え、病棟の師長候補となる副師長の約4割がプロパー職員であるなど、中堅層や次の中核を担う職員の育成が進んできていると聞いております。現在、運営法人では、看護職員に対して、職位に応じ、計画的に育成を進めており、派遣解消も見据え、職位別の研修や認定看護師等の資格取得などにより経験を積み、スキルアップしていくことで、看護師長等の病院運営の中核を担う職員を育成できるものと認識しています。●牧田魚沼基幹病院では、運営財団のプロパー職員に対して、賃金削減と人員削減の提案がなされているが、削減が行われた場合には、退職者の増加や今後の人材確保が難しくなるなど問題が生じるおそれがあると考えるが、受け止めについて伺う。●福祉保健部長次に、魚沼基幹病院の人材確保についてでありますが、病院の運営法人では、賞与や職員配置の見直しなどを含む「経営改善プログラム」を策定したうえで、病院の経営状況やプログラムの必要性について、職員一人ひとりに理解が得られるよう、丁寧に説明を行っていると承知しております。また、運営法人においては、やりがいを感じながら働き続けられるよう、各職員の努力が処遇に反映される人事制度の導入など、職場環境も併せて整備を進めていくこととしており、こうした取組が職員の離職防止や人材確保につながっていくものと考えております。●牧田県立病院における看護職員の早期退職者数は、令和5年度で127人にも上っているが、医療提供体制の維持の面で大きな課題であると考える。令和6年度末における早期退職者数の見込みについて伺うとともに、これ以上早期退職者を増やさないための対策について伺う。●病院局長県立病院における看護職員の早期退職者数の見込みと離職防止に向けた対策についてでありますが、令和6年度における定年退職を除く退職者は、現時点において約120名で、前年度と同程度の見込みです。職員の早期退職の理由は、転職、病気、結婚、育児、家庭の事情など様々ですが、離職率は近年5%台で推移し、県内他の医療機関や全国と比べて低いものの、議員ご指摘のとおり、安全・安心な医療を提供するためには、早期退職の防止にこれまで以上に取り組み、病院運営に必要な人材を安定的に確保していく必要があるものと認識しております。そのため、看護職員が希望する多様な勤務形態の導入や、人材育成などモチベーションを向上させる取組等を充実させるとともに、事務負担の軽減やハラスメント対策の強化など、現場の意見を聞きながら、職員にとって働きやすく、満足度 の高い職場環境づくりを進め、早期退職の防止に努めてまいります。企業局の事業展開について●牧田企業会計から一般会計に繰り出している地域振興積立金は、知事の主要政策である新潟県こむすび定期をはじめ、林業事業など様々な施策の原資として活用されている。近年、豪雨災害により発電所の復旧工事が必要となるケースも発生しているが、電気事業の事業継続に必要となる修繕や将来の設備更新費用に不足は生じていないのか、所見を伺う。●企業局長電気事業の継続に必要となる修繕や設備更新費用についてでありますが、電気事業の安定的かつ持続的な運営に向けては、計画的な修繕や老朽化の状況に応じた設備更新を適切に行うとともに、施設設備が被災した場合には速やかに復旧できるよう必要な備えをしておくことが重要であると認識しております。このため、毎年度、必要な修繕費を確保しているほか、定期的に行う大規模な点検整備に備えて特別修繕引当金を計上しております。また、設備更新については、固定価格買取制度などの国の制度も活用するとともに、建設改良積立金や、将来生み出す利益の範囲内で企業債も活用し、対応しております。さらに、災害発生時の復旧費用と減収リスクへの備えとして、経営安定資金積立金への積立てを行っているところです。今後も引き続き、各種積立金、引当金等の資金を適切に確保し、電気事業の安定的かつ持続的な運営に努めてまいります。●牧田電気事業は、電力市場の動向やエネルギーコスト、政府の政策としての原発再稼働等により売電単価が影響を受け、収益が変動する状況にある。将来にわたり経営を安定化し、県財政や県民の生活へ寄与するため、新たな再生可能エネルギー分野への参入など、新事業を展開し経営基盤強化を図る必要があると考えるが、所見を伺う。●企業局長次に、新事業の展開による経営基盤の強化についてでありますが、新たな事業分野への参入は、その事業環境や参入方法によっては、経営の幅を広げ、収益源の多角化など経営基盤の強化につながる可能性があるものと認識しております。企業局では、これまで猿田ダムの維持放流や県内の砂防施設を活用した小水力発電所の可能性調査等に取り組んでまいりましたが、いずれも採算性に乏しく、現時点で事業化は難しいものと考えているところです。現在、水力発電を事業の中心に据えることで、毎年度一定程度の収益を上げておりますが、新たな事業につきましては、長期的な視点に基づいた情報収集を行ったうえで、事業の採算性等を前提として、調査・検討する必要があると考えております。●牧田工業用水道事業は、企業への安価な用水供給による生産活動の拡大と、地下水の取水に対する地盤沈下対策が主な事業目的であるが、管路や施設等の主要設備は設置から数十年が経過し、老朽化対策が急務となっている。今後の老朽化対策の事業規模と実施見通しについて伺う。●企業局長次に、工業用水道事業に係る老朽化対策の事業規模と実施見通しについてでありますが、安価で安定した工業用水の供給により、将来にわたって企業が生産活動を継続するためには、老朽化対策を計画的に進めていくことが必要であると考えております。こうした中、企業局では、工業用水の安定供給の確保と健全経営の維持に資することを目的に、令和2年度から11年度までの10年間の長期改修計画を策定し、老朽化対策等に取り組んでいるところです。この計画による事業規模は約72億円を見込んでおり、これまで一部の事業で関係者との調整等により遅れがあるものの、概ね計画に沿って進捗しているものと認識しております。企業局といたしましては、引き続き適切な維持管理を行い、施設の延命化やコスト縮減に努めるとともに、必要な調整を図りながら、計画に基づき老朽化対策を着実に進めてまいります。県政の諸課題について●牧田長野県では今年度「信州型フリースクール認証制度」を導入し、一定の基準を満たすフリースクール等の民間施設に対し支援を開始した。制度の導入にあたっては検討会が設置され、学識経験者、教育関係者、フリースクール等民間施設運営者、保護者等が、学校外の学びの場のあり方について熱心な議論を交わすとともに、座長は公立学校における教育のあり方も見直すきっかけにしたいと述べている。県内児童生徒の学びの場のアップデートを図るため、本県でも、フリースクール認証制度に向けた検討会を立ち上げるべきと考えるが、所見を伺う。●教育長フリースクール認証制度についてでありますが、長野県など、複数の都道府県で、フリースクールに関する議論が行われており、本県においても、「多様な学びに関する関係機関代表者会議」の場で、フリースクールの代表者等と意見交換を行ってきたところです。会議では、フリースクールの認証制度を含め、不登校児童生徒への支援の在り方について話し合い、様々な意見が出されました。今後も引き続き、他県の先進的な取組も参考に、代表者会議の場で、フリースクール支援の在り方について理解を深めるとともに、まずは、校内教育支援センター等の不登校児童生徒の公的な居場所の整備や、不登校が発生しにくい学校づくりに重点的に取り組んでまいります。●牧田物価高で実質賃金のマイナス基調が続く中、賃上げの必要性は労使ともに認識が一致しているものの、中小企業は原材料価格の高騰に対し十分な価格転嫁ができていないことなどから、大企業と比べ大幅な賃上げが難しい状況にある。人材の地元定着を促進し、人口減少を食い止める観点からも、県内によい労働条件の企業を増やすことが重要と考える。中小企業の賃上げに対し支援を行う県も出始めており、新年度予算で中小企業の賃上げを支援するための新たな事業を実施すべきと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、県政の諸課題についてお答えします。まず、新年度予算における中小企業の賃上げに対する支援についてでありますが、 議員ご指摘の他県の動きは承知していますが、中小企業が大宗を占める本県において、人件費の上昇に適切に対応し、労働条件を改善するためには、価格転嫁に加えて、賃上げの原資となる企業収益の拡大に向けた支援が必要と考えております。このため、県といたしましては、これまでの支援に加え、生産性向上に向けたDX認定の取得や、県外のアンテナショップを活用した販路開拓に向けた取組を、新たに支援してまいります。●牧田今年3月のダイヤ改正で特急しらゆきの運行時間が変わり、午前中の新潟着の便がなくなるとともに、新潟発の最終便の時間も繰り上げられ、地域住民にとって上越地域と新潟間のアクセスは一層低下することが懸念される。JRは公共交通の使命を放棄し、上越地域の住民を無視しているように感じられる。地域住民にも観光客にも利便性が高まるダイヤ編成とするよう、JRに対し増便を強く要望すべきと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、特急しらゆき増便の要望についてでありますが、 特急しらゆきの利便性向上を実現するためのJRへの働きかけにおいては、地元での利用拡大を図ることが重要と考えております。そのため、特急しらゆきが身近な公共交通としての認知度が向上し、県民や県内企業等から積極的にご利用いただけるよう、新年度予算案において、JRと連携し、特急しらゆきの運賃等の割引きを支援するとともに、沿線市等とも連携し、駅からの二次交通の確保や情報発信などと併せた地元企業等による利用を促すなどの取組について、本定例会にお諮りしているところです。今後も、引き続き、こうした関係者と一体となった利用促進の取組を行いながら、特急しらゆきの増便について、新潟県鉄道整備促進協議会などを通じ、JRに対し強く働きかけてまいります。●牧田新年度予算では特急「しらゆき」について運賃等の割引を支援する方針だが、インターネット予約だけではなく、窓口でも販売するとともに、以前あった「えちご往復きっぷ」のような長岡―新潟間の新幹線も対象とした割引切符とすべきと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、特急しらゆきの運賃割引きに対する支援等についてでありますが、JRは、利便性の向上等の観点から、全国的に切符のチケットレス化を進めており、現在の特急しらゆきの運賃割引きについても、インターネット予約に限定されております。新年度予算案でお諮りしている、県が支援する運賃等の割引きの実施にあたっては、できるだけ多くの県民の皆様からご利用をいただけるよう、JRとも連携してインターネット予約の周知に取り組むとともに、インターネット予約がより使いやすくなるよう、JRに対し働きかけてまいります。また、上越地域と新潟地域との間の利便性の向上につながる割引運賃の拡充に向けては、関係者と一体となった利用促進の取組を行いながら、新潟県鉄道整備促進協議会などを通じて、JRに対し働きかけてまいります。●牧田気候変動等により自然災害が激甚化、頻発化しているが、臨港地区においては、津波の発生等を知らせるための防災行政無線の設置が進んでいないところもある。港湾労働者の安全を確保するため、県管理港湾については管理者である県がリーダーシップを取り、市町に設置を働きかけるべきと考えるが、所見を伺う。●交通政策局長県管理港湾における防災行政無線の設置についてでありますが、 議員ご指摘のとおり、一部の港湾においては防災行政無線の音声が港湾事業者に届いていないエリアもあることから、県といたしましては、関係自治体に設置を進めるよう働きかけてまいります。一方で、荷役機械の稼働音等で聞こえにくい場合も想定されることから、港湾事業者に対し、スマートフォン等の多様な媒体を通じた緊急情報の入手、事業所から現場への連絡手段の構築などの情報伝達体制の整備について周知啓発を図ってまいります。●牧田保健所専門職種の育児休業取得に係る代替職員の確保について、昨年6月議会の連合委員会で質問した際、「代替職員確保の方法について幅広く検討し、安心して育児休業を取得できる環境づくりに努める」旨の答弁があった。代替職員の確保に向け、どのように検討がなされ、その結果来年度どのように取組を進めていくのか伺う。●福祉保健部長次に、保健所専門職種の育児休業取得に係る代替職員の確保についてでありますが、代替職員となる臨時的任用職員については、同一職種での採用が難しく、時間がかかっている職種があることから、育児休業当初より代替職員が確保されるよう、地域の実情に応じ、募集する職種を最初から関連職種にまで拡大できるようにしたほか、事前に選考考査を行い、採用候補者として登録し、必要に応じ採用する仕組みの導入について検討を進めているところです。また、長期の育児休業により業務運営への支障が懸念される場合は、業務の状況や全体の人員体制を踏まえ、可能な範囲で正規職員を配置することができるよう、保健所専門職種の確保に向け、来年度から、従来の6月に加え、先行して4月に採用試験を実施するほか、社会人採用を積極的に行ってまいります。今後も、職種や地域の実情を踏まえながら、安心して育児休業を取得できる環境づくりに努めてまいります。●牧田文部科学省は、令和7年度から教職員不足への対応の一環として、正規の教職員が産休・育休取得者を代替する場合でも国庫負担の対象となるよう政令の改正を行った。これにより、代替教職員を安定的に確保できる効果が期待される。今回の改正を踏まえ、産休・育休取得が見込まれる教職員を代替する者の採用を行うべきと考えるが、県の方針を伺う。●教育長次に、産休・育休の代替として正規教員を採用することについてでありますが、国において、産休・育休取得者の業務を代替する教職員の安定的な確保を目的として、関係政令が改正され、来年度より施行されることとなりました。近年、講師が不足し、教員の未配置が増えている中、毎年度、一定数の産休・育休取得者が出ることを想定し、あらかじめ想定した人数に応じた正規教員を採用しておくことで、正規教員数に余裕をもたせ、産休・育休取得者の業務を代替できるよう備えることは、未配置を削減する方策の一つとして有効であると考えます。採用にあたっては、県費負担も生じることから、今後、国の運用方針を踏まえ、県としての対応について検討してまいります。