保育士の処遇改善は、人口流出対策そのもの今回まず取り上げたのは、地方から東京圏への若年女性の流出と、保育士の処遇の問題です。本来、保育の仕事は地方女性にとって「手に職がつく」安定した雇用先でしたが、賃金や労働条件の格差により、保育士でさえ東京圏へ流出する状況が生まれています。これは本県の人口社会減の一因でもあります。私は、保育士の労働環境を改善し、正規雇用の拡充や賃金引き上げに市町村と連携して取り組むべきだと指摘しました。知事からは、県内養成施設卒業者の約2割が県外就職している実態を認めたうえで、国による人件費引き上げや、都市部と地方の賃金差を生む地域区分の見直しを国に求めていること、さらに県独自の加配支援などを行っているとの答弁がありました。処遇改善が人材確保と人口対策の要であるという認識は、県とも共有できたと受け止めています。疎開保険に学ぶ、関係人口という発想次に、関係人口の創出について質問しました。鳥取県智頭町の「疎開保険」は、災害時の受け入れ体制を制度化しつつ、平時には特産品の提供や体験型交流を通じて、地域との継続的な関係を築く取組です。単なる防災施策にとどまらず、地域おこしにもつながる非常に示唆に富む事例だと考えています。私は、このような取組を市町村と連携して新潟でも検討すべきではないかと提案しました。知事からは、大地の芸術祭を支える地域外ボランティアや、山古志地域のデジタル住民票といった県内事例を紹介しつつ、疎開保険を含む先進事例を市町村に共有し、大学生等と協働する地域づくりを支援していくとの答弁がありました。人口減少時代においては、定住だけでなく「関わり続ける人」を増やす視点がますます重要だと改めて感じました。公立高校の小規模化と、公私比率の課題最後に、高校教育のあり方について取り上げました。少子化の進行により県内高校生徒数は減少していますが、特に公立高校の減少率が私立より大きく、公立高校の小規模化が急速に進んでいます。教育委員会自身も、このまま県立高校のみが学級減を続ければ、教育の質の維持が困難になるとの認識を示しています。私は、公私立高等学校連絡協議会でどのような議論が行われているのか、また県として公私比率をどう考え、県内高校の将来像をどう描いているのかを質しました。教育長からは、中学校卒業者数が今後15年で4割以上減少するという厳しい見通しを共有したうえで、これまで県立高校の学級減で対応してきた結果、公立の割合が低下し、小規模化が進んでいるという問題意識が示されました。今後は、公立・私立がそれぞれの役割を果たしながら、教育の質を守るための議論を深めていくとの答弁でした。人が育ち、関わり続けられる新潟へ保育、地域づくり、教育はいずれも切り離せない課題です。人口減少社会の中で、人が育ち、働き、関わり続けられる新潟をどうつくるのか。制度や数値の整理にとどまらず、実効性のある政策につながるよう、引き続き議論と提案を重ねていきます。以下、質疑応答●牧田地方の若年女性を中心に、地方から東京圏への人材流出が進んでおり、本県人口の社会減の一因となっている。従来、保育の仕事は地方女性にとって「手に職のつく」優良な雇用先だったが、保育士においても、処遇格差などから、東京圏への人材流出が生じている。東京圏への流出を防ぐためには、保育士の労働環境を改善することが必要であり、正規雇用の拡充や賃金の引き上げが不可欠であることから、市町村と連携して保育士の処遇改善に取り組むべきと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、県政の諸課題についてお答えします。まず、保育士の処遇改善についてでありますが、現在、県内の保育士養成施設卒業者の2割程度が県外に就職している実態があり、保育士確保の観点からも、処遇改善を含めた労働環境の改善に取り組むことが重要であると考えております。県といたしましては、これまでも国に対し、保育士の処遇改善を求めてきたところであり、昨年度、国の公定価格において、過去最大となる10.7%の人件費の引き上げが行われたところです。なお、公定価格には地域区分が設けられており、都市部と地方では差が生じておりますが、この地域区分の設定が、人材確保の支障とならないよう配慮することを全国知事会等を通じて、国に求めているところです。また、県では、市町村と連携し、1歳児3人につき保育士1人の手厚い配置や、発達に特性のある児童を受け入れる施設への加配など、人件費に係る県独自の支援を行っているところであり、引き続き、保育士の労働環境の改善や正規雇用の拡充に繋がるよう取り組んでまいります。●牧田鳥取県の智頭町では、加入金を徴収した上で、地震・噴火・津波等を原因とする災害救助法が発令された場合、その地域の方を受け入れて、食事と宿泊場所の確保・提供等を行う制度、いわゆる疎開保険を設けている。この制度では、加入者への特典として、疎開する機会がなかった場合、智頭町自慢の米や野菜、工芸品などの特産品を年一回届ける取組のほか、民泊体験や豊かな自然を活かした森林セラピーなどの様々な体験を用意して、疎開保険制度をフックとして、関係人口の創出による地域おこしに取り組んでおり、有用な事例と考える。本県においても市町村と連携して、同様の取組を検討してはどうかと考えるが、知事の所見を伺う。●知事次に、関係人口の創出に向けた取組についてでありますが、人口減少・高齢化により地域づくりの担い手が不足している地域においては、外部からの人材が新たな担い手として期待されており、議員ご指摘の疎開保険制度を含め、全国各地で創意工夫を凝らした多様な取組が行われているものと承知しております。県内においても、妻有地域では「大地の芸術祭」を支える900人以上の地域外ボランティアが継続的に活動しており、また、旧山古志村では「錦鯉」をモチーフとしたデジタル住民票を発行し、1,800人以上の地域外人材が地域住民とともに地域づくり活動を実践しています。県といたしましては、市町村等に対して様々な機会を捉えて、疎開保険制度をはじめとした県内外の取組事例を紹介することに加え、地域住民が大学生等と協働して取り組む地域づくり活動への支援などを通じて、関係人口の創出・拡大に努めてまいります。●牧田令和7年度の学校基本調査の結果速報によると、県内高校生徒数は通信制を除き、全体で47,489人で公立が34,935人、私立が12,554人で私立の割合は約26%となっている。少子化により高校全体の生徒数は毎年減少しているが、公立高校生徒の減少率は私立高校に比べて大きくなっており、県教育委員会は、令和6年12月議会の代表質問において、「今後も県立高校のみが学級減を行うことになれば、県立高校の小規模化が一層進行し、教育の質を維持するうえで重大な課題が生じる。」との認識を示している。県では毎年、新潟県公私立高等学校連絡協議会において、公立及び私立高校の関係者が各学校の入学状況等について情報交換を行っているが、その議論状況を伺うとともに、県が考える公私比率を踏まえた県内高校のあり方について伺う。●教育長公私比率を踏まえた県内高校のあり方についてでありますが、本年7月に開催した公私立高等学校連絡協議会では、中学校卒業者数が15年後に40%以上減少する状況について、公立・私立共通の課題として共有しながら、意見交換を行ったところです。県教育委員会からは、これまでの生徒数の減少に対し、ほぼ県立高校の学級減のみで対応してきたため、募集学級全体に占める公立の割合が低下し、県立高校の小規模化が進行しており、今後さらにその状況が進めば、各エリアにおける学校規模の維持や教育の質の確保が困難となるなどの問題提起をしております。今後は、公立・私立が切磋琢磨しながら、それぞれの役割を果たし、子どもたちが希望する教育を受けられる環境を維持していけるよう、県内高校のあり方についての議論を深めてまいります。